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認知症予防・介護教室 レジュメ

 この講座は鈴鹿市の委託を受けて実施されたものです。 各回とも事例をとおして認知症を理解し予防と介護方法を考えようとするものです。
 実際に認知症高齢者を抱える家族の負担を軽減し、進行を遅らせ、問題状況を除去し、在宅での生活の可能性を探ります。  また、高齢者を抱える家族や本人にとっても認知症を理解する機会にしたいとおもいます。

第一回 5. 成年後見制度から見た認知症介護

権利擁護の観点から認知症を理解する
成年後見制度ってなーに?

 成年後見制度とは聞きなれないことばですが、今回は、法律の制度から痴呆を見たらどうなるかを話します。 その前に「権利」と言う物を本当に理解しているか、、、から話しましょう。

はじめに

1.権利とは・・・法が認めた意思の力。法によって保護された利益。

 ここで言う「権利」とは人と人の私的関係を決める「私法」なんです。対して、「憲法」などの人と国や自治体の公的関係は「公法」に分類されます。「私法」と「公法」の違いは、なんていう法律から出ているか、、、なんですね。

①権利義務関係の主体となりうる地位を権利能力という。

 (例えば、土地の所有者となることのできる法律の基本的な資格のこと)

 物を自由に使用、収益、処分、する権利を「所有権」と言うんですね。例えば、めがねを貸すことも、使う事も、売る事も出来るわけですが、人が勝手に、私のめがねを持っていった場合、「返してほしい」ということが出来ます。

  ・ 権利能力はすべての人に平等に認められている。・・・「私権の享有は出生に始まる」

   →人はすべて平等であるという近代社会の基本理念の宣言である。

  ・ 人の権利能力は、死亡によって終了する。

 人はすべて平等で、生まれてから死ぬまでその権利はあるんですね。 障害者になろうが、認知症になろうが変わりません。


②自分の行為の結果について合理的な判断をすることができる能力を、意思能力という。

 → 自分のしたことの意味のわからないもの(幼児など)に、その行為の責任を取らせることはできない。

 でも、認知症になって「家を売る」権利はありますが、実際に売買するには意思能力が要ります。 幼児にはこの能力は無いですし、行為に対して責任も無いんです。

③単独で完全に法律行為をなしうる能力を、行為能力という。

 → 制限無能力者(行為能力を制限された者)・・・一般的に取引能力が不十分な者に保護者を付けて単独で法律行為をすることをできなくし、単独で行った場合には保護者に取消権を与える。

 家を売る場合、家を売りたいAさんと、家を買いたいBさんの意思が合致すると、取引は完全に履行されるんです。これを、単独で取引を行なったと言うんです。じゃあ単独じゃない、、、て、どういうことでしょう?

 例えばBさんが17歳だった場合、当然、勝手に売る事は出来ないんです。 彼の場合、20歳未満ですので親が契約を取り消せるんですね。「いいですよ」と追認する事も出来る。 そして初めて取引が完結するんです。これは、「取引の安全を保護する」と言う発想なんです。

 このように行為能力を制限される人を、制限無能力者と言うんですね。

2.従来の成年後見制度の問題点

 昔は無能力者制度(明治23年制定)で禁治産者を家庭裁判所が決めてたんです。意思能力の有無を、医師の鑑定書などで家裁が判断するんですね。 7歳ぐらいの能力があるかどうかが、分かれ目だったんです。 そして、「能力無し」と判断されると、戸籍に禁治産者であることが記載されたんです。 費用は30万円ぐらいで、期間は2ヶ月ぐらい、後見人は自動的に妻(夫)がなるんです。

①無能力者制度・・・未成年・禁治産者・準禁治産者

 → 自分の行為の結果を判断することができない者。正常な認識力と予期力がない者。

②問題点・・・認知症高齢者などの意思能力の判定が難しい。

 重度の認知症であれば良いんですが、ボーダーラインの時、困りますね。

           利用しにくい。

 2ヶ月かかって、費用が30万円だと、利用しにくいですね。

           本人の意向が反映されない。

 判断能力が無くなってから禁治産の指定を受けますから、本人が「どうしたいか」という意思が、全く反映されないんですね。

           本人の権利保護が十分でない。

 後見人の一存で決められる為、本人を施設にほり込んでおいて、財産を自分達のために使ったりするんです。

 東京の弁護士さんから聞いたのですが、ある家族から「父親が認知症になったので、禁治産の手続きをお願いします」と言われて、申請したそうです。すると、父親を施設に入れて、父親の家を、後見人になったとたん売り払い、連絡を入れると「父親が死んだら連絡ください」と言われたそうである。本人の意思など、何も無いですよね。

 そこで、これらの弊害を無くす為に、今回の制度が出来たんですね。 詳しく知りたい方は法務省のページからどうぞ!

 法務省のページ
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html

成年後見制度の概要

1.成年後見制度の改正の理念

 成年後見制度を改正するにあったって、法務省のホームページでは以下のような趣旨で検討が行われたことを載せている。

「成年後見制度は、判断能力の不十分な成年者(認知症高齢者・知的障害者・精神障害者等)を保護するための制度であり、現行民法上は、禁治産・準禁治産制度及びこれを前提とする後見・保佐制度が設けられている。

今回の改正においては、高齢社会への対応及び知的障害者・精神障害者等の福祉の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼイション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和を旨として、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度を構築するための検討が行われた。」

 新しい成年後見制度の理念は、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼイション等、、、なんですね。

 昔は職業や取引などが自由に出来ませんでした。ところが近年になって自由意志で契約できるようになり、契約の自由が保障されるようになったんです。 市民は昼間自由に取引をして、夜は安心して休めることを保証しましょう、、、となってるんですね。

2.制度の概要

①成年後見制度には、法定成年後見と任意後見がある。

 後見制度はこの二種類なんです。ものの事柄を理解する力(事理弁識能力)の無い人を被成年後見人(本人)と言い、それを後見する人を後見人と言うんですね。 成年、、、とあるのは、未成年後見人(=親の変わりに子供を保護する人)と区別する為です。

 法的にはさらに3種類あるんです。 合計4類型ですね。

②法定後見には、3類型がある

  (1) 後見  成年被後見人 事理弁識能力を欠く常況にある者    成年後見人

  (2) 保佐  被保佐人    事理弁識能力が著しく不十分である者 補佐人

  (3) 補助  被補助人    事理弁識能力が不十分である者     補助人

 補助 → 保佐 → 後見 の順に程度が重くなるんですね。「後見」の場合などは、殆ど判断能力がなくなっているんです。

③成年被後見人の行為能力

・・・成年被後見人が法律行為をした場合、成年被後見人は、つねにその行為を取り消ことができる。 但し、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取り消すことができない。(自己決定の尊重)

④被保佐人の行為能力

・・・自己の財産状態に大きく影響しない行為などは、単独でできる。

⑤被補助人の行為能力

・・・特定の法律行為についてのみ補助人の同意を要する。

 行為を取り消す事は出来るんですが、自己決定の尊重と言う観点から、日用品の購入などは取り消せないんです。 例えば、少し呆けた人がキャラメルを10個買ってきた、、、これを「いけません、返してきなさい」とは言えないんです。

 自己決定の尊重とは、一緒に買い物に行ってみかんがほしいと言えば買ってあげる。 それで、本人は自己実現ができる、、、これが大切なんです。

 でも、重要な財産の取引は出来ないんです。 そして、どの程度のことが出来るかを、残存能力の程度に合わせて決めたのが、補助 → 保佐 → 後見 なんです。 じゃあ、その程度をどうやって決めるんでしょうか?

⑥保護者の選任

・・・家庭裁判所が成年被後見人の状況や後見人の職業・経歴。両者の利害関係、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮して、職権で選任する。

 家庭裁判所が決めるんです。 じゃあ、どういう制度で決まるんでしょう。

 家庭裁判所では、調停、審判、裁判、、、と言う制度があるんですね。 裁判はみなさんテレビなどでご存知のとうり、原告(訴える人)と被告(訴えられる人)がお互いの言い分を申し立て、裁判官が相撲の行事のように「こっちの勝ち!」と軍配を上げるんです。 これが「裁判」ですね。

 これらの制度の中で、保護者の選任は「審判」という方法で決められます。

 審判はこれら一切の事情を考慮して、一方的に裁判官が「あんたに決めた」、、、と、やるんですね。 だから、裁判官に「こいつは、自分のためにお金を使うんじゃないか?」と思われた人は、まず、なれないんです。

⑦保護者の権限

・・・成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うために、取消権、追認権、代理権を有する。その際、意思尊重義務と身上配慮義務を負う。

 後見人は被後見人(本人)の家などを売る事が出来るんです。 でも、売るには裁判所の許可が要るんですね。 従来は勝手に売っても良かったんです。だから、財産を取られたりしていた。 ここが、今回の改正で改善されたところです。

3.任意後見契約

・・・本人が、事理弁識能力があって健常状態のときに、将来、事理弁識能力が不十分になったときのことを想定して、自分が選んだ任意後見人に、その時点での事務処理を委託する契約。

 元気な時に、「将来認知症になったら、この人に後見人になってもらいましょう」と、決めておくことが出来るんです。

 実際には、公証役場に行って公正証書を作って後見人を決めておくんです。 公正証書を作ってくれる人は、元裁判官なんかが多いみたいですね。

 では、さらに認知症が進んできたらどうするか? 法定後見人を付けるんですね。そうすると、任意後見人は自動的に解任になるんです。

 まだ色々あるんですが、認知症との関係ではこれくらいの事を理解しておいてほしいんです。

痴呆性高齢者の権利保護のために

1.自己決定の尊重を徹底すること

  介護者は、どんなに認知症状が重くてもその人の意思能力を認めること。

    → 周辺症状の緩和になる。

 「自己決定の尊重」ということを介護者は心にとどめる必要があるんです。 これについては、私が特別養護老人ホームで施設長をしていた経験から、いくつかお話します。

 ある、入所者さんは日常生活の大切な事が殆ど答えられない。 お父さんから家を半分相続した息子さんは、その家を売って、自宅を建てたいんです。 でも、半分はお母さんの物なので、印鑑証明がないと家が売れないんです。 そこでその息子さんは、施設の私のところに印鑑と通帳を取りに来ました。 私は、「お母さんに聞いてきます」といって、本人に事情を説明しました。 彼女はただ一言「しらん」、、、と言うだけ。 事理弁識能力が無いんですね。 でも、「いいよ」とは言ってないのです。

 私は息子さんに「本人の承諾が得られない」と断りました。 息子さんは怒って帰っていきました。 数日後、役所からはがきが来て「代理人が印鑑証明を作ってほしいと言うが、本人の承諾がほしい」とありました。 彼女に聞くとやっぱり「わしゃ知らん」ですので、はがきはほって置きました。 結局、彼女が亡くなるまで、財産は処分できませんでした。

 私的にこの話を聞けば「それは大変ですね。すぐ手配します」となるところですが、私は印鑑と通帳を本人から預かっているだけですので、勝手に処理する権限が無いんです。 でも、他の多くの施設では渡してしまうんですね。

 反対に、しっかり者の娘さんが「母の財産を世の中の役に立てたい」といって、後見人になった例もあります。

 最後の話は、障害者の方です。彼女は小学校3~4年生ぐらいの知能があり、身体障害もありました。 お姉さん夫婦と暮らしていたのですが、子供も大きくなり一緒に暮らせなくなって、身体障害者療護施設に入ってきたんです。 それまでの財産管理は姉がしていたのですが、同時に施設の管理下に置かれました。

 そのお姉さんは、土日のたびに家族で施設に来て、半日過ごして帰る、、、ということをしていました。 ある時、妹を温泉につれて行くので、通帳から20万円出してくださいと言われました。 「温泉に行くのにどうしてそんなに沢山のお金が要るんですか?」と聞くと「温泉に連れて行って楽しませてあげるんだから、家族の分も妹に負担してもらう」とのことでした。

 妹さんに説明すると「いいよ」と言います。 しかしそこで私は、「通帳からお金がなくなっていくんですよ」と付け加えたところ、「いやだ」と言うんです。 つまり言い方なんですね。 後はどんなに説明しても「いやだ」の一点張りでしたので、お姉さんに伝えました。お姉さんは怒って帰っていき、以来、尋ねてこなくなりました。

 私は職員達に「家族の絆を断ち切った」と言われました。 

 その後施設で家族会議を開いて、来てくれたお姉さんに事情を説明したところ、また、尋ねてきてくれるようになりました。 そのとき初めて「私が悪かった」と、そのお姉さんが言ったのです。

2.制度の活用

 介護者は、認知症高齢者の自立(経済的自立、日常生活の自立等)のために、介護のすべてを背負わないこと。

 → 個人に焦点を合わせること。自立支援のための制度を活用し、介護の一部を諸制度に任せることを決意すること。新しい家族関係を構築するために、家族というこだわりを捨てすこと。

 何がその人にとって大切か?、、、、、難しい問題ですが、今までは他人が決めていたんですね。 そこで、本人の意思を尊重するという考えから、成年後見制度が出てきたんです。

 前回お話しましたが、自己決定を尊重する事で周辺症状(多くが問題行動)が限りなく小さくなる。 そしてそうする事で、自宅で生活できるんです。 その為にも、家族が全てを背負わずに、制度を利用して介護の一部を制度に任せる事を家族が決意しなければならない。 社会資源を目一杯利用する事で、認知症になっても自宅で生活できるようになるんです。

 先日、ある認知症の方で、奥さんに向かって包丁を振り回すため、精神病院に入院の手続きを取った方がみえました。 入院して落ち着くと、問題行動は消えたんですが、奥さんは怖くて仕方が無い。 でも、病院に面会にきた奥さんは、ご主人の手を取って涙を流しているんです。 家族の問題は、他人が立ち入れるものでは無いですね。 だから難しいんです。

おわりに・・・問題点と今後の課題

1.制度が新しいということ

 これが最大の欠点なんですね。一つの大きな仕組みが世の中に定着するには10年かかるんです。10年経って駄目なら法律が変わるんですが、2~3年で変わることは無いんですね。

 戦後、禁治産制度が出来てから今までに、2千人の人がこの制度を利用しました。 でも、成年後見制度になってから4.5.6.7.8月の五ヶ月間で3千人がこの制度を利用したんです。 それでも何万人もいる人たちの数パーセントでしかないんですが。

2.受け皿がまだ十分でないということ

 誰かが手続きを代行してくれると良いんですね。 現在、三つの団体が名乗りをあげています。

 一つは司法書士会で、リーガルサポートと言う名前で全国、各都道府県に展開しています。 三重県には津にあるんですが、本当は地域に一つずつ欲しいですね。

 二つ目は社会福祉士会です。 社会福祉士は殆どの施設にいるんですが、彼らは施設に勤めているために組織化しにくいんですね。 国が各都道府県の社会福祉士会に一億円ずつ出せば、いっぺんに出来るんですがねぇ、、、全国で48億円、、、特別養護老人ホーム10軒分ですかね。 私が厚生労働大臣ならやりますよ!(笑)。

 三つ目が弁護士会です。 所得に応じて報酬は変わるみたいですね。

3.自分が認知症になったらこれを利用しようと今から準備すること

 こういう制度があるから、そうなったら使用するというふうに、夫婦で話し合っておいてほしいですね。

 私の父に「遺言」を書くよう勧めたんですが、あとで「正美は私の事を早く死ねば良いと思っている」と、陰で、嘆き悲しんでいたんですが、意味が違うんですよね。(^_^;)

4.地域福祉権利擁護事業との連携

 福祉サービスの利用や日常的な金銭管理について

 地域福祉権利擁護事業というのが有るんですが、県社会福祉協議会が実施主体なんです。 当面は市町村の社会福祉協議会に委託していますので、そこへ行けば係りの人が懇切丁寧に説明してくれます。

 高齢世帯では、認知症にならなくても何らかの記憶障害が出てくるものです。 それで日常生活に支障が出てくるんですね。 電気料金や電話料金の支払いなどの日常生活の財産管理や、福祉サービス利用に伴う契約などです。 鈴鹿市では鈴鹿市社会福祉協議会がしているんですが、浸透していませんね。 それらをファーストステップとして利用してみる。 そうする事で必要な時スムーズに成年後見制度に移行できるんです。 突然電話が止まったりすることなく、安心して生活できるようになれば良いですね。

以上


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